<農業者と消費者が意見を交えて検討した制度>
令和2年4月、我孫子市は「あびこエコ農産物認証制度」をリニューアルして12年ぶりに再始動しました。
本制度は、環境にやさしい農業(以下、エコ農業)を広めるために、平成16年にあびこ型「地産地消」推進協議会が開始した事業です。化学合成農薬と化学肥料の使用を千葉県の慣行栽培基準より削減して栽培した農産物を「あびこエコ農産物」として認証するものです。開始当初は、我孫子新田にアンテナショップが整備される前だったため、アビスタの入口前に特設売場を設けて月に2回販売していました。あびこエコ農産物には認証を受けたことを証するシールが貼られており、削減レベルに応じて、緑シール、50%以下ならオレンジシール、不使用なら金シール、JAS認証を受ければプラチナシールと4段階に分別していたのが特徴です。
平成20年6月に認証ミスが発生し休止しましたが、市は、再開に向けて「我孫子市における安全安心新鮮農産物の供給及び表示のあり方に関する検討委員会」を同年に起ち上げました。同委員会は、「あびこ型「地産地消」推進協議会」や農政課の他に、農業者、消費者、JA、東葛飾農林振興センター(現・農業事務所)が構成メンバーとなり、8回の検討会議を重ね、基準や認証方法など基本的な考え方をまとめました。市は、この検討結果をもとに、平成25年3月に「あびこエコ農業推進基本計画」を策定しました。平成29年6月に農業拠点施設を整備し、令和2年4月にようやく体制が整ったことから12年ぶりに再開することになりました。
<当面の目標はエコ農業の裾野を広げること>
新制度と旧制度の大きな違いは、千葉県の慣行栽培基準に対して化学合成農薬と化学肥料の使用を20%以上減らした農産物を一律に「あびこエコ農産物」として認証し、削減レベルに応じた4段階の分別を無くしたことです。
この変更については、消費者から「消費者が20%では魅力に感じない」、「農業者がより高いレベルを目指さない」というご意見も一部いただきましたが、夫婦だけで作業しているのでエコ農業まで手がまわらないため「削減レベル」だけで優劣の差をつけられることに不満を抱く農業者も少なくありませんでした。今回の再開にあたって、改めて農業者に意見を伺ったところ、削減レベルに応じた分別に対しては消極的なご意見も多く寄せられました。こうしたことから、まずはエコ農業の裾野を広げること、具体的には、国や県の高いレベルの認証基準に満たない栽培方法でもエコ農業に取り組む農業者を支援することを優先し、現段階では分別を行わないこととしました。また、有機JAS認証や「ちばエコ農産物」等の高いレベルに取り組もうとする農家に対しては、「有機栽培等農家支援事業補助金」等で引き続き支援していきます。
認証審査の体制も変わりました。旧制度ではボランティアの目視により審査していましたが、新制度では生産履歴システムによる自動判定と、農業者に技術指導等を行う農業のプロである農業改良普及員による目視のダブルチェックで審査します。あびこエコ農産物を信頼して購入してくださる消費者の皆さまを裏切ることがないよう、審査には細心の注意を払って運用していきます。
<認証シールは「手賀沼のうなきちさん」>
あびこエコ農産物に貼付する認証シールは、目に付きやすい“手賀沼のうなきちさん”デザインです。シールには化学合成農薬と化学肥料を20%削減していることを表記しています。消費者の目を惹くこと、あびこエコ農産物とは何かが分かりやすいことを意識しており、農業者から「これは貼れば売れるかも」とのお声をいただいています。また、消費者の皆さんに関心をもっていただくため、認証シールを集めて応募すると地元産農産物が当たる「あびこエコ農産物認証制度応援キャンペーン」を令和3年3月31日まで実施しています。(皆さんもあびこエコ農産物をお買い上げいただき、ぜひご応募ください!)
<「あびこエコ農産物」を広げるために>
あびこエコ農産物への取り組みは、市内の全農業者が対象となっています。あびこエコ農産物の取り組みが広がり、直売所やインショップ等の様々なお店に「あびこエコ農産物認証シール」が貼付されたエコ農産物が並ぶことで、エコ農業の推進はもちろんですが、消費者の皆さまが我孫子産農産物を意識する機会が増えることも期待しています。そのためには、農業者が認証を取得するメリットの一つである売れることによる「所得向上」が重要となります。皆さまには、協議会活動を通したご支援とともに、ご家族、ご友人、所属する団体等に「あびこエコ農産物」のご紹介をいただければと思っています。あびこエコ農産物がエコ農業と地産地消の推進の一役を担えるよう努めていきますので、これからも変わらぬご支援・ご協力をお願いいたします。